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執筆者の写真kenji kawara

骨粗しょう症治療の手順や薬剤選択は?

更新日:2021年8月25日


40歳以上の女性のおよそ20%弱が罹患していると言われている(1*)、骨粗しょう症ですが、確かに何らかの薬剤を予防内服している患者さんの割合は体感でもかなり高いものと感じています。


その中で、骨粗しょう症の治療として「いつ」「どの」薬剤を内服すべきかということについてきちんと知っておく必要があると思い、まとめてみました


※今回、症例の提示はありません


【Clinical Question】

骨粗しょう症治療の開始手順や薬剤選択は?



【私的結論】

  • 脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折、椎体骨折)がある場合には、その事実のみで治療を開始する


  • その他の場合には、骨折の既往や骨密度、大腿骨近位部骨折の家族歴などを鑑みて薬物治療開始を検討する


  • 薬物治療の第一選択はビスホスホネート製剤として、アレンドロネート・リセドロネートが、その他の製剤としてデノスマブが使用される


  • リセドロネートは月1回投与で良い製剤が発売されており、コンプライアンスを鑑み、薬剤を選択する


  • ただし、投与が長期間に及ぶ際には(椎体骨折抑制において)同等の効果があるとされる(2*)ラロキシフェンを第一選択薬として用いることも考慮する



【ビスホスホネート製剤投与時の注意】

  • 食道狭窄やアカラシアがある患者では投与出来ない


  • 食道炎や嚥下障害、胃十二指腸潰瘍のある患者では慎重に投与することが必要


  • 内服後30分座位を保てない患者には投与出来ない


  • CKD、腎機能低下患者では投与に注意を要する


  • ビスホスホネート内服中の歯科治療(関連顎骨壊死のリスク)について、服用期間が3年以内、かつ危険因子がない場合については原則休薬せずに継続する

  ―それ以外の状況では休薬の要否を検討する

  ―休薬の期間は治療後3か月間



※危険因子:飲酒・喫煙・糖尿病・ステロイド投与・肥満・抗がん剤・口腔衛生不良


(2021.08.25追記)

 米国歯科医師会は、骨粗鬆症患者における ARONJ の発生頻度は最大に見積もっても 0.1%程度であり、骨吸 収抑制薬治療による骨折予防のベネフィット(有益な効果)は、ARONJ 発生のリスクを上回っており、また 骨吸収抑制薬の休薬は ARONJ 発生リスクを減少させる可能性は少なく、むしろ骨折リスクを高め負の効果を もたらすとの見解を示している 。 これらの背景を Evidence-based Medicine(EBM)の観点に基づいて論理的に判断すると、侵襲的歯科治療前の BP 休薬を積極的に支持する根拠に欠ける。


『骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016』(4*)より


【ビタミンD製剤について】

  • エルデカルシトールはアルファカルシドールに比べて、骨密度増強および椎体骨折抑制効果において優れる(1*)


  • ただしエルデカルシトールにおいても、非椎体骨折や大腿骨近位部骨折の抑制効果に関するエビデンスには乏しい


  • そもそも、up to date(3*)では、「薬物治療を受ける患者は、治療開始前に血清カルシウムと25-ヒドロキシビタミンDが正常であることを確認する必要があり、食事摂取量が不十分であれば補充するべき」と述べられている


  • (私見)軽症例に対してエルデ/アルファカルシドール単剤投与、あるいはビスホスホネート製剤に追加する形での使用は考慮しても良いかもしれない。



【参考文献】


(2*) Iwamoto, Jun, et al. "RETRACTED ARTICLE: Efficacy of Antiresorptive Agents for Preventing Fractures in Japanese Patients with an Increased Fracture Risk." Drugs & aging 29.3 (2012): 191-203.




 #ビスホスホネート #骨粗しょう症 #エルデカルシトール

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