尿検査で偶発的に発覚する蛋白尿ですが、持続する場合や背景に疾患が隠れている場合には腎機能予後に関わることから、適切に鑑別を進めることが重要であると考えられます。
今回は蛋白尿の鑑別の進め方について、改めて調べてまとめてみることにしました。
【Clinical Question】
蛋白尿の鑑別方法とは?
【私的結論】
まずは一過性蛋白尿の可能性を除外するために、尿定性検査を繰り返す
繰り返す定性検査で陰性となった場合、一過性蛋白尿として、特別な精査を必要としない
繰り返し陽性となる場合には、体位性蛋白尿の可能性を除外するために、早朝尿での検査を実施する
ここまで残った(つまり、一過性でもなく体位性でもない)蛋白尿は病的蛋白尿の位置づけとなり、精査を要する
腎外性(腎前性、腎後性)と腎性に分けられる
【一過性蛋白尿について】
特に若い人によく見られ、18歳未満の8〜12%、および大学生の成人の約4%で認める
発熱、過度の運動、精神的ストレス、タンパク質の過剰摂取などが原因として挙げられる
特別な精査や経過観察を必要としない
【体位性蛋白尿について】
直立姿勢で蛋白質排泄が増加し、仰臥位の場合は正常な蛋白質排泄を示す場合がある。これを体位性蛋白尿と呼ぶ
従って、体位性蛋白尿を除外するために、早朝第一尿を用いて検査を実施する必要がある
体位性蛋白尿については年に数回の検尿、腎機能血液検査、血圧測定などの精査によりフォローする
【病的蛋白尿について】
原因は腎外性(腎前性・腎後性)と腎性の三種類に分かれる
(1*)臨床検査のガイドライン JSLM2015 より
【専門医へのコンサルテーション】
蛋白尿および血尿がともに(1+)以上の時
蛋白尿が(2+)以上の時
一日畜尿による1日尿蛋白測定が0.5g/day以上の時
上記の際には腎臓内科専門医へのコンサルテーションを考慮する
【腎生検の適応】
ネフローゼ症候群を呈する全ての例(すなわち1日尿蛋白測定が3.5g/day以上)
1日尿蛋白測定が0.5g/day以上が1年以上続く場合
蛋白尿、血尿に数カ月以内の腎機能低下を伴う場合
【血尿の評価方法について】
(1*)臨床検査のガイドライン JSLM2015 より
【参考文献】
(2*)up tp date: Assessment of urinary protein excretion and evaluation of isolated non-nephrotic proteinuria in adults
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